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「おしゃぶり型」LSR模具の核心的な特徴と設計ポイント

1. 複雑な構造と大型化
3次元形状:シールド部分は赤ちゃんの顔の輪郭にフィットするよう、立体的で複雑な曲線をしています。これにより、模具は深絞り(深い凹凸) 形状となり、脱模(取り出し)が難しくなります。
大型金型:奶嘴のみの模具よりもはるかに大きく、重くなります。
2. 複数のアンダーカット処理(スライド機構)
おしゃぶりのシールド裏側には、指をかけるためのくぼみ(アンダーカット) がほぼ確実にあります。この部分は型を開く方向から直接脱模できないため、模具にはスライドコア(横型) やリフト(アップライズ) などの可動機構が必須です。
精度要求:これらの可動部品と固定部品の間のクリアランス(隙間)は、極めて精密(数ミクロン単位)である必要があります。隙間が大きすぎるとLSRが流入してバリ(フラッシュ)が発生し、小さすぎると可動部が固着してしまいます。
3. 複数点でのゲート(注入口)設計
大型で複雑な形状であるため、一箇所から材料を注入すると、溶接線(ウェルドライン) が目立ったり、遠くまで材料が届かずにショートショット(充填不足)になったりするリスクがあります。
マルチゲート:複数の地点から同時に材料を注入するマルチポイントゲートが採用されることが一般的です。
バランスの重要性:各ゲートから流れる材料の量と速度が均一になるように、ランナー(流路)の長さと太さを精密に計算する必要があります。CAE(流動解析ソフト)によるシミュレーションがほぼ必須です。
4. 高度な排気システム
複雑な形状と大型サイズは、空気が逃げ場を失いやすいことを意味します。シールドの端やスライド機構の内部など、多数の箇所に精密な排気槽(ベント)を設ける必要があります。排気槽の深さの管理は、奶嘴以上に重要です。
5. 冷却システムの最適化
おしゃぶりはサイズが大きいため、固化時間がボトルネックになりがちです。生产效率を上げるためには、模具内部に効率的で均一な冷却水路を設計し、製品をすばやく均一に冷却する必要があります。冷却ムラは、変形や収縮ムラの原因となります。
製造工程と品質管理のポイント
試作とCAE解析:
実際に模具を製作する前に、充填・固化・収縮のシミュレーションを行い、ゲート位置、溶接線の発生箇所、エアトラップ(空気の滞留)のリスクを事前に予測・修正します。これにより、試作回数とコストを大幅に削減できます。
鏡面仕上げ:
奶嘴同様、口に触れる部分は鏡面仕上げが要求されます。複雑な立体形状のため、仕上げ作業には高度な技術が必要です。
耐久性:
おしゃぶりは大型で投影面積が大きいため、模具には高いクランプ力(型締力)がかかります。また、可動部品(スライド)の摩耗も激しくなります。そのため、高硬度で靭性のある素材(例:SKD61、NAK80など)が選定され、可動部には特に耐磨耗性の高い処理が施されます。
バリ取りの考慮:
複数のパーツ(スライドコアなど)が合わさる模具は、バリが発生しやすいです。設計段階から、バリが発生しない構造、あるいは発生したバリが取りやすい形状を考慮する必要があります。
まとめ:奶嘴模具との主な違い
| 特徴 | 奶嘴模具 | おしゃぶり型模具 |
|---|---|---|
| サイズ | 比較的小さい | 大型 |
| 形状 | 比較的シンプル | 複雑な3D形状、深絞り |
| 可動機構 | ほぼ不要 or シンプル | 必須(スライドコアなど) |
| ゲート | 単一 or 少数 | 複数(マルチゲート) |
| 排気 | 重要 | 極めて重要(箇所が多い) |
| 冷却 | 標準的 | 均一かつ効率的な冷却が重要 |
おしゃぶり型の模具は、奶嘴模具の技術の上に立って、さらに複雑で高度な「可動機構」と「大型製品の生産技術」が要求される、模具技術の集大成とも言える領域です。 その分、設計・製造の難度とコストは非常に高くなります。
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